東大寺二月堂修二会のこと ~その2 [奈良のこと]
2月も末になり、お水取りまであと少しとなりました。
先日は2月20日から11人の僧侶の方々が別火に入られる、という記事を書いたかと思いますが、
本日は「お水取り」という行事の内容について少し触れてみたいと思います。
この法要は正しくは「十一面悔過(けか)」と呼ばれ、本尊の十一面観音に対して全ての罪を懺悔する法会、という意味。
「十一面悔過」法要で懺悔される罪は、いわゆる犯罪だけではなく、人々が日常的に犯している様々な過ちを指します。
人々が犯した全ての罪を僧侶が代わって(代表して)観音さまに懺悔し、その上で天下泰平や五穀豊穣、さらに全ての生き物の幸せを願うという法要が「十一面観音悔過法要」なんだそうです。
連行衆の方々はそのために行に専念し、身を清め、さまざまな準備をしてくださっているんですね。
ところで、「お水取り」と聞くと、二月堂の舞台から火の粉をまくお松明がもっともメジャーかと思います。
でもこれは意外にも修二会の中心行事ではないのです。
3月1日からの本行では、午後7時に二月堂の向かって左側(北側)にある登廊を松明が順番に上がっていきます。実はこれは夜の法要のために上堂する練行衆の足元を照らす道灯りなのです。童子と呼ばれる係の人がお松明を持って登廊を上がり、練行衆はその後に続いて北側から堂内に入ります。
練行衆が堂内に入ると役目を終えた松明は向きを変え、二月堂の正面へ。舞台の上で松明を打ち振るのは、実はその火を小さくするためなのだそうです。
私たちが見ているのはそのお松明なんですね。もちろんこれも「ただの道灯り」と簡単に言えるものではなく、通常でも40kg、篭松明だと70kgにもなる松明を均一に燃えるように回しながら階段を上るわけですから、非常に大変なこと。
一方、堂内に入った練行衆はその後深夜まで行法を続けます。
修二会の2週間の本行中は1日6回もの行が行われますので、言ってみれば私たちは午後7時に行われる回を拝見しているということ。法要全体の中のほんの一部ということですね。
また、お松明終了後はすぐに帰路につく方が多いのですが、二月堂の舞台に上がることも可能です。スペースに限りがあるので必ずとはいきませんが、堂内での法要の様子が僅かにご覧いただけるそうです。
今年もしお水取りを拝見することができたら、ぜひACARTも二月堂舞台まで上がってみたいと思います。
知れば知るほど奥が深い奈良のお水取り。もちろんご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、ACARTのように知らなかった方も多いのではないでしょうか。
この他にもお水取りにはまだまだあまり知られていないことが沢山。色々な要素を持った複雑で謎の多い行事なんです。
半月におよぶ大きな規模で行われますので、また少しずつご紹介できればと思います。
お水取りのニュースなどをご覧になった際には、一緒に祈りを捧げてみてはいかがでしょうか?
■東大寺二月堂 修二会
2015年3月1日~3月14日
お松明は毎日19時(12日は19時30分、14日は18時30分)から。週末は特に混雑します。比較的見やすいのは期間中のなるべく早い時期、また平日とのことです。
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もうすぐ本行。お水取りは今年で1264回目です。
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