花追い人2015最終章 [奈良のこと]
氷室神社のしだれ桜から始まった奈良の桜もそろそろ終わりに近付いています。
若葉の季節が巡ってくる前にひときわ美しく清楚に最後を飾るのはナラノヤエザクラ。ということで、最近朝活が多いACARTがまたもや出勤前に行ってまいりました。
その前に、ナラノヤエザクラとは。
「奈良に植えられている八重桜」の総称ではなく、品種の名前です。
1921年に東大寺塔頭の知足院で原木が発見され、1923年には国の天然記念物となり一躍脚光を浴びることになったナラノヤエザクラ。しかしその後2009年の強風で倒れ原木が枯死。なんてことでしょう。ところがその原木と同じ遺伝子を持つ純粋種の若木を復活?させることに成功し、それが現在知足院の原木があった同じ場所に植樹されているとのこと。
そんな数奇な運命を辿るナラノヤエザクラ。由緒ある品種なのですが繁殖力が極めて弱く人間で言うところの「美人薄命」。そう思うとよりいっそう貴重で美しいもののように感じます。
さて、ウンチクはこのくらいでさっそくその美しいナラノヤエザクラを探してみましょう。まずは原木を拝見しに知足院へ行ってみました。
若草山ドライブウェイ入口を右に逸れてまだ上に登っていきます。というわけでこのお寺までは急な坂道。果てしなく続く坂道を登って、朝から自転車で大変良い運動になりました。
そして原木はお寺の中ではなく右手にある裏山に箱入り娘のように大切にフェンスで囲われていいました。
もしかして勝手に見てはいけないのかしら?と思いましたが、フェンスに「見学者の方へ」の張り紙がありましたのでまあ大丈夫なようです。とはいえ厳重に管理されているので原木には近づくことができませんし、遠目だと咲いているのかどうかすらよくわからない状態・・・。葉っぱばかりが見えましたがおそらくお花は終わりかけ。ちょっと遅かったでしょうか。しかしながらありがたい幻の桜の原木、ちょっと神々しくも見えました。
そしてその近くには大きくて黒い猫が。真っ黒で長毛・・・こちらもちょっと珍しい感じです。桜の見張りでしょうか。
知足院を後にし東大寺の脇にある「おかっぱ桜」を見てみると・・・
さすがにもう見頃はとっくに終わっていました。
これはこれでちょっとオモシロイ姿です。
そし次は転害門の中にあるナラノヤエザクラ。鼓坂小学校の前に何本かあります。見頃を少しだけ過ぎた感じでしたが、こちらは近くで鑑賞することができます。ギザギザっとした花弁が幾重にも重なった小振りな姿は控えめで奥ゆかしい奈良の女性のよう。
このあたりには、ふつうの(?)八重桜も見事に咲いています。
モリモリっとしたボリューム感と濃いピンク色がたまりません。お餅っぽい?
この鼓坂小学校の前には黄緑色の桜「御衣黄」もあります。こちらも葉っぱに紛れて黄緑の花が満開を迎えていたっぽいです。
さてそろそろACART LIFESTYLE開店時間。最後は県庁東交差点の北西の角付近にある、東圓堂跡地。こちらは石碑とともに原木が植えられています。
昨日はちょうど見頃でとても美しい淡いピンク色の花が沢山咲いていました。今週末はまだ見ることができそうですし、場所もわかりやすく駅からも近いのでぜひ足をのばしてみてください。
ちなみにこの美しい桜を後世に残すため、東大寺や興福寺には原種が、他の奈良公園内各所にもナラノヤエザクラが植えられています。ACARTが見た転害門の桜も原木と同じ遺伝子というわけではないそうですが、どれも大変美しく咲いていました。
平安時代には中宮彰子が見たいと願い、引っこ抜いて京都まで運ばせようとしたほど美しいといわれるナラノヤエザクラ。興福寺の僧が阻止したため、彰子の八重桜植え替え作戦は失敗に終わりましたが、植え替えられていたら今頃どうなっていたのでしょうか。
最後になりましたが、明日は日曜日。
猫スタッフが出勤いたします。
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