おん祭りってこんなお祭りだったんですね [奈良のこと]
昨日よりもさらに冷え込んだ感のある12月18日(金)。
曇り空がより一層寒々とした印象で、「本気の冬がやってきた」と思わざるをえないお天気です。
そんな冬の奈良の風物詩である「春日若宮おん祭」は本日最終日を迎えます。
メインの昨日12月17日、ACARTも少しだけ取材に行きましたので、お祭りの大まかな流れを写真とともにご紹介します。
「春日若宮おん祭」は、春日大社の若宮神社に祀られている「若宮様」という神様のために、毎年12月15日~18日にかけて行われるお祭りです。
ざっくり言うと、春日大社から一日だけお旅所へ出られる若宮様のために沢山の人々が参じて、さまざまな芸能を披露して楽しんでいただくお祭り、ということなんです。
全体のスケジュールとしては、ACARTがのっぺ汁に舌鼓を打った12月15日の「大宿所祭」から始まり、12月18日の「奉納相撲・後宴能」で終わります。
メインとなるのは12月17日で、この日は付近の公立小学校などでは午前中で授業が終わり。
伝統行事で学校が半日になるなんて、さすが奈良ですね。
そんなわけで三条通りも猿沢池も子供たちがいっぱいでした。
12月17日、全体の流れはこんな感じです。
①17日深夜0時に若宮様を春日大社の若宮神社からお旅所に遷す「遷幸の儀」で若宮様1日だけの外出スタート。
②深夜1時からは「暁祭」が行われます。
「遷幸の儀」や「暁祭」は深夜にもかかわらず、見物客で人だかりができるのだとか。一昨日の夜もかなり冷え込みましたが、たくさんの人が見物したのでしょうか。
③正午からは芸能集団や大名などなどが練り歩く「お渡り式」が行われます。
伝統衣装に身を包んだ人や馬による華やかな時代行列です。
ルートは県庁前広場を出発して近鉄奈良駅からJR奈良駅へ、三条通りを進んで一の鳥居をくぐり、お旅所へと向かいます。
三条通りの興福寺南大門跡では僧兵たちが行列を見守ります。
かっこいいけど足元が寒そうです。
④お渡り式の途中、13時頃から一之鳥居をくぐってすぐの「影向(ようごう)の松」の前で田楽や猿楽が奉納される「松の下式」があります。
行列がここに差し掛かると儀礼的な所作を披露する、華やかで見ごたえのある儀式。この場所は有料観覧席もありますが、立ち見の無料エリアでもたくさんの人で賑わいます。
影向の松の前には白い頭巾をかぶった「稚児」が座っています。松の下式を見守った後は大人たちの背に乗ってお旅所へ運ばれます。
こちらは松の下式で披露される、稚児流鏑馬の様子。時代劇でお馴染みの走ってきて的を射るスタイルではなく、トコトコと歩く馬に乗って的の前で止まり、姿勢を整えて「バン!」と射ます。
流鏑馬やお稚児さんなど、小学校低学年くらいの少年少女がこのお祭りでは活躍しています。幼い上に寒いのに、堂々とした立ち居振舞いでした。
⑤14時半頃から深夜まで芸能の数々を奉納する「お旅所祭」。
午後3時半から夜の23時近くまで、様々な芸能がお旅所にいる若宮様の前で奉納されます。
⑥23時頃に若宮様を春日大社のお社へお還しする「還幸の儀」で若宮様のお出かけ終了。
若宮様は24時間以内に本来居るべきお社に帰らなければならないため、「還幸の儀」が開始されるのは23時頃。
シンデレラかローマの休日を彷彿とさせるような若宮様の短いお出かけでした。
⑦最後に本日12月18日の13時からは、御旅所の南側の土俵で奉納相撲が行われます。
とにかく寒かったのですが、春日大社や興福寺、おん祭保存会に地元の人々など沢山の人々によって伝えられ続けられてきたことを実感したおん祭。
これからもずっと続いていくことを強く願います。
実は観覧していた時におそらく何年も見ているであろうご年配の方の「今年は少ないねぇ」という声を何度か耳にしました。
確かに、松の下式が見える場所やお旅所前など一部は人がいっぱいでしたが、一の鳥居からお旅所までの道の両脇にある立ち見エリアは比較的いつも空いてる感じでした。
平日ですのでなかなか見ることが難しい方も多いかと思いますが、奈良にこんなにも豪華で奥深いお祭りがあることを、ぜひ覚えておいていただけると幸いです。
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