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樫舎さんで極上の和菓子コースを堪能!灯りを消して撮影タイムも。 [奈良のこと]

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先日の定休日、6月3日(月)。お店に行くのとほぼ同じ時間に家を出て、ならまちへ向かったACART。
もちろん休日出勤ではなく、お店のすぐ近くにある名店「萬御菓子誂處 樫舎(よろずおんかしあつらえどころ かしや)」さんへ。
実はここでは、予約すると目の前でご主人が作る和菓子のコースを頂けるのです。
常連のお客様にお誘いいただき、半年以上前から画策していた今回の「和菓子コース」。
いろいろあって予約できるまでに時間がかかりましたが、ようやくそのチャンスが巡ってきたというわけです。

いつもお客様でいっぱいの樫舎さんですが、予約しているのでスムーズに入れます。
カウンターに座ると、早速ご主人のお話が始まります。
「私、和菓子好きじゃないんですよ。つくるのも、食べるのも」
・・・おっと!これが先制パンチか!
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実はこの和菓子のコース、静かに和菓子を頂くのかと思いきや、ご主人がずーっとよどみなく楽しいトークを繰り広げてくださいます。
和菓子の名店のご主人自らが目の前でつくってくださるというシチュエーションに少し緊張しましたが、堅苦しさは一切なし。要所要所では灯りを消して撮影タイムなどもつくってくださるんです。

もちろん、お話は集中して聞いていたのですが、うっかり聞き入ったり油断したりも何度かございました。そのため写真を撮れなかったものや、お聞きしたにも関わらず忘れたこと、聞き逃したことなどもあるかと思いますが、できる限り思い出しながら記事にしたいと思います。


まず最初に、冷たい煎茶と1品目、落雁(お干菓子)。
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楓をかたどった落雁。緑色は青大豆の色でしょうか、ちょうど今の季節の新緑の青紅葉のようです。
「ただの砂糖のかたまり」だと思っていた落雁がこんなにも香り高く控えめな甘さだったとは!
青大豆の香りがすばらしく、ホロホロと口の中で溶けます。
こんな美味しい落雁ははじめて食べました。早くも感動!
「材料は極力触りません。触ると穢れるという考えだからです」
と言いながら、確かにほとんど触らずに落雁を優しく美しく作っていくご主人。
そんな手元がしっかり見られるのもカウンターならでは。

2品目、葛焼き
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実はこの葛焼きを焼くときに使っているのは、「ガンツウ(guntû)」という樫舎さんがお手伝いしている超高級クルーザーの船体と同じ素材の鉄の板!厚さ1センチちょっと、そんなに大きくない面積ですが、重さは20キロ以上ということですから、どれだけ頑丈か、計り知れません。
その板をじっくりと温めて、本葛と丹波小豆のこしあんで作った葛菓子をのせ、ゆっくりと焼きます。
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外がほんのり香ばしく、うっすらとパリパリ。
出来立てだからこその食感と香りです。
ガンツウという高級な船のお話のほかにも、使ってる食材やうつわ、道具のこと、さらにご主人の豊富な知識や華麗な生い立ち、そしてそうそうたる顔ぶれの人脈についてお話ししてくれるので、待っている間もまったく退屈しません。
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このときはお抹茶をご主人自ら点ててくださいました。
このあと出して頂くコーヒーなどもそうですが、飲み物のうつわや描かれている柄などは、どうやらゲストの顔を見てご主人が選んでくれているようです。
純喫茶のマスターみたいですね。


3品目、わらび餅
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まずは「こしあん」と「つぶあん」を選ぶところから。
できれば「どっちも!」といいたいところですが、どちらかです。
ちなみに「つぶあん」のわらび餅はお店で販売していないとのことですので、ここでしか食べられない粒あんを。
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もちろん作り置きではなく、最初から目の前で作ってくださいます。
少し前に、本わらび粉に水を注射器(!)で注入し、吸水させたものを、銅のお鍋(これもご主人が自ら叩いたそうです)で溶かします!
わらび餅って、火にかけながら長時間必死でねりねりするものだと思っていたのですが、全然違いました。
ご主人はかるーく混ぜているような感じで、時間にしても数分、思ったよりもすぐに出来上がってびっくりです。
本物のわらび粉のみ、他のでんぷんは一切使っていないというわらび餅、無色透明じゃなくて、ちょっとグレーなんですね!初めて見ました!
こうしてできあがったわらび餅に、餡をつつみ、奈良漆器の上にのせます。
電気を消して、粉が舞わないように換気扇も消して、「サ~」っと、きな粉をふります。
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この美しさときたら!写真に上手く撮れなくて残念!
美しいわらび餅は頂くとプリッとしていながらモチっとしていて、しかも口の中で溶けそうなほどの柔らかさ!
中に餡が入っているわらび餅って初めてでしたが、外のわらび餅と粒あんの触感がもう最高です。

ここでなんとコーヒー。
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もちろん豆を挽くところからです。
和菓子屋さんとはいえ、このコーヒーもものすごく美味しい!
しかも赤膚焼きのマグカップ(柄はうさぎさん)にたっぷり出てくるので、コーヒー大好きのACARTは大満足です。

4品目、もなか
「素材に触れると汚れます。もなかは直接触らないでお客様にお出しできるので、メインにしています」というご説明とともに手渡された小さな鯛のかたちのかわいいもなか。
汚れるとは手が汚いわけではなく、洋菓子が手を加えれば加えるほど価値があがるのに対して、和菓子は手を加えるほどに価値が下がる・・・汚れるという意味だそうです。なんとストイックな!
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というわけで・・・手渡しなんですね?あれ!しかもあたたかい!
「早く!熱いうちに食べてください」
一刻も早く食べなければいけないのに、迂闊にも、というか失礼にも写真を撮ってしまいました。
一瞬遅くなりましたが、それでもこの世のものとは思えないサックサクのもなか。
もっと早く食べたらもっと美味しかったのかもしれませんが、これでも十分に感動もの。ほんのり温かいもなかってはじめて食べましたが、とんでもなく美味しい!

最後にほうじ茶。
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馬上杯というかわいいかたちのうつわに、1煎目はちょっとうすいほうじ茶を。
色は薄いけど、うまみは十分です。
その後は背の高いうつわに2煎目の濃いほうじ茶。
ほうじ茶って「普段のごはんの時のお茶」という認識があったのですが、こうして最高の和菓子と一緒に頂くのも良いですね。

それにしてもご主人は作業に集中しながらもお話できて本当にすごいな、と思います。
ACARTなんてお話しながらお釣りを出すと間違いそうになったり、ラッピングしながらお話すると「えっと、なんでしたっけ?」ってなったり。
お喋りしながら手を動かすのって難しいはずなんですが、こちらのご主人は本当に流暢に手も口も動かされることに驚きました。

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「和菓子職人の仕事は本当に単純です」
「私たちは味を作れません。砂糖で甘くしているだけです」
「本当に美味しいものを作っているのは農家さんなんです」
こういったことをこの2時間の間に度々おっしゃっていたご主人。
最後に、
「美味しいって褒めてもらうんですけどね、和菓子職人は味を作れないんですよ。味を作っているのは、最高の材料を育ててくれる農家さんなんです。私や店の名前が前にでてますけど、本当は、農家さんの名前がでるようにしたいんです。そのために、こうして2時間かけてお菓子をお出ししてるんです」
とのこと。
謙虚とか謙遜しているわけではなく、本当にそう思っていらっしゃる、というのが伝わってきた2時間。
お菓子が美味しいのはもちろん、そのときのゲストの様子を見て選んでくださる器もまた目に愉しく、お話も耳に楽しく。
とてもとても、贅沢な時間でした。

極上の和菓子と最高のホスピタリティを、みなさまもぜひ、一度ご賞味ください。

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萬御菓子誂処
樫舎
住所:奈良県奈良市中院町22‐3
電話番号:0742‐22‐8899
営業時間:9時~18時
カウンター席はご予約のみ(前月最終日より予約受付開始)
おまかせコース:税込3,240円

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