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名宿の味。古白さんのすき焼き [奈良のこと]

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かつて「日吉館」という宿がありました。
場所は国立博物館の前あたり。県庁から氷室神社に向かう途中、人気の釜飯屋さんの並び・・・といったところでしょうか。
大正3年(1914)の創業から平成7年(1995)までの約80年間、そこは奈良を訪れる文人・芸術家・学者らに愛され、文化的サロンとも言えました。格安の宿泊料は奈良を学ぶ探究心・向学心のある若者の強い味方だったのだそうです。
そんな日吉館の名物といえば、NHKの連続ドラマのモデルになった女将、田村キヨノさんと、奈良を学ぶ人々の胃袋を支えた「すき焼き」だったと言います。
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その建物も多くの人々により保存が検討されたものの老朽化から2009年に取り壊されてしまい、今ではかつての日吉館の面影を残すものはありません。
ただ在りし日の「すき焼き」を継承しているお店があるのです。


そのお店とは、旅宿 古白さん。そうあの古白さんです。
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実は先日ようやくこのすき焼きをいただくことができました。
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古白さんのすき焼きは予約制。喫茶スペースの奥の個室でいただきます。「秘密倶楽部奥座敷」・・・店内のあちこちに素敵なセンスの貼り紙が。

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ほらこんな注意書きもこっそりと。

古白さんのご主人は、まだまだ若い方なのですが、仏像や美術をはじめ奈良に関する知識と博学さでは随一と評判です。仏像講座などのイベントをはじめ、その宿も奈良を愛し全国から訪れる方々に人気なのです。そのお話も面白く、つい時間を忘れて聞き入ってしまいます。

奈良を学ぶうちに日吉館を知り、自らの宿も奈良を愛し学ぶ人達の支えとなるような宿にしたい、そして日吉館のすき焼きのように安くて味の良い食事を提供したいと考えていたところ、なんと、かつて日吉館で実際にすき焼きをつくっていた方と知り合うことができ、直接指導していただけたのだそうです。

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お肉は宮崎産。

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長ねぎではなく、玉ねぎを使うのが最大の特徴です。

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割り下を用いるのではなく、砂糖と醤油で味をつける関西風です。
砂糖はザラメ。コクがあり味に深みが増します。

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とにかくとろけるようなお肉の柔らかさ、そして香ばしい風味が絶品。
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たっぷりと卵にからめていただくと、多くの文人たちや学生たちが集った宿の熱い語らいが聞こえてきそう。

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最初はお肉だけ、続いてたくさんのお野菜でぐつぐつと沸くお鍋を楽しみます。白菜や玉ねぎ、春菊にもお肉や甘辛いつゆがしみて箸がとまりません。

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ついでに美味しい日本酒もとまりません。

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最後は古白さん自慢のネルドリップの珈琲を堪能します。

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ついつい食べすぎてお腹もいっぱいなのですが、お代も驚きのお手頃価格で、こちらもしっかり往年の名宿の系譜を継いでいる・・・と言えるかもしれません。
現代の日吉館になるにはまだ少し月日がかかるかもしれませんが、いつかきっとそうなるだろうと思わせる、素敵な体験をさせていただきました。

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旅宿 古白
奈良市鳴川町10
http://nara-kohaku.com/

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