美しくておいしい、のりこぼし椿。二月堂修二会のこと~その4 [奈良のこと]
今日の奈良市餅飯殿周辺のお天気は曇り。しかも雪が降るかも、という耳を疑う予報です。
外は強い風が吹いていますが、さすがに雪は無いだろう・・・。なんて思っていたら。予報通り昼前からハラハラと降ってまいりました。修二会が終わるまであと少し。この冬最後の雪になるかもしれませんね。
さて、本日は久しぶりに修二会(お水取り)のお話です。
二月堂修二会の時期になると、椿の花を型どった可憐なお菓子が奈良のあちこちの和菓子屋さんで見られます。
商品名や形はさまざまですが、どれも紅い花びらに白色が交じった「のりこぼし」という椿をモチーフにしたもの。
造花の椿を作る時に糊をこぼしてしまったかのような斑点があるので「のりこぼし」と呼ばれるこの椿は奈良三銘椿の一つで、東大寺境内の開山堂(国宝)にあります。
開山堂は二月堂のすぐ下、四月堂の横です。お水取り準備の時期にはその前に軽トラが沢山停まっていて、ちょっと国宝には見えません。
修二会本行が始まる前の「別火」についてのブログの中で、「別火坊では11人の練行衆が椿の造花をつくる」と書きましたが、そこでつくられていたのがまさにこの「のりこぼし椿」を模したものなんです。
修二会の本行では二月堂で本尊・十一面観音が安置される須弥壇を飾るために使われ、華やかに飾ることで邪気を払う役目があるのだとか。
別火で作られた椿の造花は本物の椿の枝につけられるのですが、実はACARTが2月27日に別火坊を拝見したとき、ちょうど椿の枝が運び出されているところでした。
おそらくこの椿の枝が別火坊でつくられた造花の椿を付けるためのものだと思われます。かなりの大きさで、「枝」というよりも「木」でしたが、椿の花は400個ほどつくられるそうですのでそれくらいの枝ぶりのものが何本も必要になるのでしょう。できあがったものを是非一度拝見したいものです。
ちなみにお水取りで使われるのが造花なのは、この時期まだ本物が咲いていないから。のりこぼし椿はお水取りが終わった3月末頃から咲くそうです。
1週間ほど前に開山堂へ行った時には蕾が少し膨らみはじめていましたので、もしかしたら早いものはもう咲いているかもしれませんね。
ちなみに一番最初の写真は四月堂の北側に置かれていたのりこぼしと思われる落ち椿です。
この時期、奈良でこの椿のお菓子をご覧になったら、私たちの代わりに罪を懺悔し万物の幸せを願う僧侶たちを少し思い出してみてください。ACARTもそんなことを考えつつ、ありがたくいただくことにします。
224porcelain suiプレート ¥3,240(税込)
224porcelain sui煎茶(湯呑) ¥1,080(税込)
そして明日、3月11日の14時30分から、東大寺大仏殿では「東日本大震災物故者慰霊法要」を厳修し、亡くなられた方々の廻向と被災地の一日も早い復興を祈るそうです。大仏殿を訪れる予定のある方は近くで、そうでない方は遠くでも、ご一緒にお祈りいただければと思います。
■東大寺二月堂 修二会
2015年3月1日~3月14日
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